何を立証しなければならないか?

不倫の事実

まずは、当然のことながら不倫の事実があったことの裏付けが必要です。

例えば、性的関係(肉体関係)を不倫の内容として慰謝料を請求するのであれば、仮にその事実を否定された場合に備えて、そのような行為があったことを立証できるようにしておかなければなりません。

また、不倫が何時始まったのか、いつまで続いたのかについて立証が必要になることも考えられます。

不倫開始時の婚姻関係の状況

慰謝料を請求された不倫相手の言い分として多いのが、不倫開始時に既に婚姻関係が破綻していた、という主張です。

(これが事実であれば仕方がないですが、そうでなければ)こういう言い分がされた場合に備えて、不倫開始時に婚姻関係が破綻していなかったこと、あるいは夫婦仲がむしろ良好であったのであればそのことを立証できるように準備しておく必要があります。

不倫発覚による婚姻破綻

不倫発覚によって「婚姻関係が破綻した」ということを積極的に主張したい場合は、その点を争われたときに立証ができるように準備ないし意識しておく必要があります。

すでに離婚や別居をしている場合など、立証が簡単な場合は気にする必要はありませんが、離婚について配偶者と(口頭で)協議したにとどまる場合などは、その様子を何らかの方法で記録しておかないと後の立証が難しくなる恐れがあります。

不倫相手とのやりとり、体調等

その他、不倫発覚後に不倫相手とどのようなやりとりがなされたのか、などを主張したい場合も考えられますので、やりとりについてかたちに残しておくことが有益です。

その他、精神的苦痛の大きさを推し量る事実、例えば体調の変化などについて立証することが必要・有益になる場合も考えられます。

不倫慰謝料請求に使える証拠の例

性的関係(肉体関係)

性的関係(肉体関係)を立証するための証拠としては、行為の様子が記載されたメールやLINE、性的関係があったことを前提とする内容が記載されたメールやLINE、2人でラブホテルに入ったところを撮影した写真やビデオ、不倫相手が不倫の事実を認めたことが分かるメールや手紙などが代表的です。

不倫開始時の婚姻関係の状況

不倫開始時の婚姻関係の状況を立証するための証拠としては、夫婦2人が笑顔で写った写真、配偶者へ帰宅を知らせるメール、配偶者の病状を気遣うメール、夫婦・家族で食事や旅行に行った際の写真等、誕生日・結婚記念日・クリスマス等にもらった手紙やプレゼント、などがあります。

不倫発覚による婚姻破綻

不倫発覚による婚姻破綻を立証するための証拠としては、離婚調停・訴訟の裁判資料、別居していることが分かる住民票、離婚について協議していることが分かる手紙やメール、生命保険の受取人変更に関する書類、などがあります。

不倫相手とのやりとり、体調等

不倫相手とのやりとりを立証するための証拠としては、不倫相手や配偶者からの手紙やメール、日記などがあります。

体調の変化を立証するための証拠としては、病院・診療所の診断書や領収書等、写真、日記などがあります。

証拠がないとどうなるか?

不倫相手も配偶者も不倫の事実を認めていない場合

自分としては確信があっても、不倫相手も配偶者も不倫の事実を認めていない場合は、不倫をしたという事実を証明できる証拠がない限り、不倫の慰謝料請求をしてもよい結果は期待できません。

ただ、何もないのに配偶者が不倫をしているという確信を持つこともないでしょうから、まずは中立的立場の人、その中でも専門家である弁護士の意見を聞いてみることをお勧めします。

弁護士から見ても間違いないということになった場合は工夫次第でそのまま慰謝料請求に進むことができますし、そうでない場合も、今後証拠を得るにはどのような方法があるかなどのアドバイスを受けることができます。

配偶者が不倫の事実を認めている場合

配偶者が不倫の事実を認めている場合でも、不倫相手は不倫の事実を認めないことはあり得ます。そしてそういう場合は、不倫相手に慰謝料請求をしても示談をすることは一般的に難しく、裁判(訴訟)に持ち込まざるを得ないケースが多くなります。

そしてこのようなケースが訴訟になった場合は、裁判所は、配偶者が不倫の事実を認めているというだけでは簡単に不倫の事実を認めてくれません。その理由は、もし配偶者の自白だけで慰謝料請求が認められるのであれば、慰謝料請求者とその配偶者が結託して慰謝料を不当にだましとることが簡単にできてしまうからです。

ただ、そうは言っても、配偶者の自白以外にまったく何も証拠がないというケースは割と少ないものです。すなわち、1つ1つの証拠それ自体は決定的な証拠とはいえない場合でも、それらの証拠と配偶者の自白が合わされば立証が可能であることは少なくありません。

不倫相手が不倫の事実を認めている場合

他方、不倫相手が不倫の事実を認めている場合は、基本的にはそれ以外の証拠がなくとも慰謝料請求が奏功する可能性は十分あります。

ただし、不倫したことを認めたという事実自体を後に覆される場合もなくはありませんので、不倫相手が不倫の事実を認めたこと自体を立証できる資料があれば万全です。もしそれがない場合は、いつどのような経緯・状況で不倫相手が不倫の事実を認めたのかを詳細に記録(メモ)に残しておきましょう。