不倫慰謝料請求の標準的な手順と流れ

不倫慰謝料請求の標準的な手順と流れは次のとおりとなります。

  1. 事実関係や証拠の確認・整理
  2. 慰謝料請求金額の決定
  3. 相手住所等の確認・調査
  4. 慰謝料請求通知書の作成
  5. 慰謝料請求通知書の発送
  6. 示談交渉
  7. 示談書の作成
  8. 示談書への調印
  9. 示談ができなかったとき

それではこれらを順番に見ていきます。

事実関係や証拠の確認・整理

不倫の慰謝料請求をするに先立ち、まずするべきことは、事実関係や証拠を確認し、整理することです。

例えば、いつどういう経緯により結婚したのか、その後の婚姻関係はどのように推移したか、子がいつ生まれたか、不倫がどういう経緯で発覚したか、そのときの婚姻関係の状況、不倫の内容、不倫発覚後の事実経過等を確認・整理し、これらの事実について相手方に争われた場合に備えて、証拠の有無を確認したり証拠を選別したりします。

慰謝料請求金額の決定

事実関係や証拠を踏まえて、慰謝料の請求金額、すなわち不倫相手に慰謝料としていくらを請求するのかを決めます。

その際、裁判所の裁判例、過去の類似事例などを参考に、訴訟になった場合の見通しを立てます。

慰謝料金額がどのようにして決まるのか、その算定方法などについては、『不倫慰謝料の金額と算定方法』のページにて解説しましたのでご覧ください。

この金額は、示談交渉中は増額することが一般的に難しいため、慎重に決定する必要があります。

他方、示談交渉が決裂して裁判(訴訟)に進むときは、増額されることも珍しくはありません。

相手住所等の確認・調査

ここまでで、慰謝料請求の内容は概ね確定しましたので、これを慰謝料請求通知書などの文書にまとめて不倫相手に送るわけですが、その前提として、不倫相手の住所を確認します。

もし住所が分からないときは、その調査を待って、住所が判明したときはそこに郵送します。調査結果を待っている間にとりあえずは電子メール等すでに分かっている連絡手段によって通知書を送る場合もあります。

通知書を送る住所は、原則として相手方の自宅住所にしますが、判明しない場合は勤務先等に送ります。

慰謝料請求通知書の作成

ここまでで慰謝料請求通知書に書くべき内容と送り先が決まりましたので、実際に慰謝料請求通知書を作成します。

訴訟とは異なり、証拠資料を添付することは通常ありません。

この通知書には、どういう事実を理由に不倫慰謝料の請求をしているのか、いくらを請求し、いつまでに支払えばよいのか(慰謝料の支払い期限)、その他の要求などを記載します。

慰謝料の支払期限としては、示談書が届いてから1~2週間とされることが一般的です。

慰謝料請求通知書の発送

不倫の慰謝料請求通知書は、通常「配達証明」付きの「内容証明郵便」という方法で送ります。内容証明で請求文書の内容を、配達証明で相手に届いたという事実を、それぞれ後日証明できるようにするためです。

示談交渉

不倫慰謝料請求の通知書を送った後は、相手方からの連絡を待ちます。

通知書には予め、支払いや連絡の期限を記載しますので、少なくともそれまでは連絡を待ちます。その期限を過ぎても支払や連絡がない場合は、訴訟提起を検討します。

相手方から連絡があり、金額や支払時期などについて要望があった場合は、これを検討し、こちらの意向を相手に返します。このようなやりとり(交渉)をしながら双方が合意できる条件が決まれば、示談が成立します。

なお、ある事実に対する双方の認識に大きな食い違いがあり、これが慰謝料の金額を左右する場合は、示談の成立は一般的に難しいため、慰謝料請求側としてはすみやかに訴訟に移行することも検討します。この場合、訴訟に移行するのに相手方の了承は必要ありません。

示談書の作成

示談が成立すれば、示談書を作成します。

示談書に通常記載されることは、慰謝料の金額、その支払い期限、支払方法(振込口座)、この示談書で決めたこと以外には互いに債権債務がないこと、などです。

債権債務がないとは、支払わなければならないものも請求できるものもないということです。後に追加で請求されたりすることを防ぐための取決めです。不倫の慰謝料を請求された側にとっては、この確約を得るために示談をすると言ってもいいくらい重要な条項です。

このほか、今後配偶者と面談をしたり連絡をとったりしない、第三者にこの件を漏らさない、といった慰謝料以外の約束を定めておくこともあります。

また、何の件についていつ誰との間で成立した合意なのか、ということも示談書に記載しないといけません。

示談書は、慰謝料を請求した側とされた側それぞれが原本を持つよう、2通作成されます。

示談書への調印

示談書の文面が完成したら、あとは両当事者の調印、すなわち印鑑を押すことによって示談書が完成します。

この調印手続きは、両当事者が同席して行われることもありますが、むしろ郵便でやりとりされることが普通です。

具体的には、片方が示談書2通に調印し、これをもう片方に郵送し、そのうち1通を返送してもらいます。

示談ができなかったとき

示談交渉によって合意ができなかった場合は、慰謝料請求側は、裁判所に訴えを提起することができます。

もちろん、慰謝料請求を完全に無視された場合も同じです。また、示談交渉を経ずにいきなり裁判することも可能です。示談交渉をしても合意が見込まれない場合などには、すみやかに訴訟をした方がかえって早い解決が期待できることもあります。

裁判になった場合の流れについてはこちらのページ(『不倫慰謝料請求裁判の流れ』)をご覧ください。