不倫慰謝料裁判の標準的な流れ

不倫慰謝料請求が裁判(訴訟)になった場合の標準的な流れは次のとおりとなります。

  1. 裁判管轄
  2. 訴状の提出
  3. 答弁書の提出
  4. 裁判の進行と内容(主張と立証)
  5. 判決言い渡し
  6. 不服申立て・判決の確定
  7. 強制執行
  8. 裁判上の和解

それではこれらを順番に見ていきます。

裁判管轄

訴訟提起する裁判所は、自分の住所地を管轄する裁判所もしくは相手の住所地を管轄する裁判所のいずれかにするのが基本です。

また、訴えを提起する裁判所には地方裁判所と簡易裁判所があります。不倫の慰謝料請求について訴えを提起する場合は、相手に請求する金額によって、どちらの裁判所に訴えたらよいかが決まります。

請求金額が140万円以上の場合は地方裁判所に、140万円未満の場合は簡易裁判所に、訴えを提起します。

訴状の提出

訴え提起とは、具体的には「訴状(そじょう)」というタイトルの書面を作って裁判所に提出することです。

訴状には、不倫の内容やそれによって婚姻生活がどのように破壊されたか、いくらの慰謝料を求めるかなどが記載されます。また、訴状に書いてある主張を裏付ける証拠も同時に提出されるのが一般的です。

裁判所が訴状を受理すると、これが被告すなわち慰謝料請求の相手方に郵送されます。この郵送には、「特別送達」という書留の方法がとられます。

答弁書の提出

被告には、訴状といっしょに、原告(慰謝料請求側)が提出した証拠資料や裁判所作成の呼び出し状が届きます。この呼び出し状に、第1回目の裁判が行われる日時や場所(法廷番号)、答弁書の提出期限等が記載されています。答弁書の提出期限は通常、第1回目の裁判の日の1週間前に指定されています。

答弁書とは、訴状に書いてあることについての被告の言い分を主張するための書面です。被告は、答弁書の提出期限までに答弁書を作成して提出しなければなりません(答弁書を提出しなければ相手の言い分どおりの判決が下される可能性が高くなります)。

答弁書の主張を裏付ける証拠があるときはこれも提出します。

裁判の進行と内容(主張と立証)

裁判は1回では終わらないのが普通です。第1回目の裁判の日から第2回目の裁判の日まで1か月前後の間隔があります。以下同様の間隔で進んでいきますので、半年かかっても5回程度しか裁判は開かれません。

原告から訴状が提出され、被告から答弁書が提出された後は、どちらも「準備書面」というタイトルの書面で自分の追加の主張や相手の主張に対する反論をし、それらの主張や反論を裏付ける証拠があるときは、これらも追加で提出していきます。その繰り返しが裁判です。

証拠として提出できるのは書面に限りません。自分や相手あるいは第三者(証人)が法廷で質問を受けてこれに回答した内容も証拠になります。

判決言い渡し

両当事者によるこうした主張、立証を経て、裁判所が原告の請求を認めるべきか、認めるとしてどこまで認めるべきかを判断できる段階になると、裁判所による判決が言い渡されます。この判決言渡しによって裁判は一応終了します。

判決は言い渡されるだけではなく、書面として両当事者に届けられます。そこに書いてあることは、「いくらを支払え」という結論と、その理由です。理由には、裁判所がどういう証拠等からどういう事実を認定したのかなどが記載されます。慰謝料の支払い義務がない場合は、「原告の請求を棄却する。」という判決になります。この場合もその理由が記載されます。

不服申立て・判決の確定

言い渡された判決に対して不服がある当事者は、(判決書を受け取ってから2週間以内に)「控訴(こうそ)」といいう不服申立て手続きをとることができます。原告、被告のいずれからも控訴がなされなかった場合にはじめて、言い渡された判決が確定します。

強制執行

原告の請求した慰謝料のうち一部でも判決によって認められ、その判決が確定すると、原告は、被告がその判決どうりに慰謝料を支払わない場合には強制執行ができます。強制執行とは、持っている財産や給与などの収入を差し押さえたりすることです。これには別途の裁判手続きが必要になります。

裁判上の和解

不倫の慰謝料請求が訴訟になった場合でも、必ずしも判決の言い渡しというかたちで裁判が終了するとは限りません。むしろ大多数の不倫慰謝料裁判は、裁判上の和解というかたちで終わっているのが実情です。

裁判上の和解とは、要するに裁判所が間に入って示談することです。示談書に相当する和解調書というものを裁判所が作ってくれます。

その和解調書に、慰謝料の金額、支払時期、支払方法(振り込み口座)等、示談が成立した場合の示談書の内容と同様のことが記載されます。裁判外の示談と裁判上の和解との違いは、もし相手が約束を守らなかった場合、和解調書があれば強制執行ができることです。