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訴訟の流れ

訴状が届く

訴えられると、被告に訴状が届きます。訴状は「特別送達」という書留で届きます。

封筒を開けると訴状といっしょに
「(第1回)口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告書」
という紙が入っていて、その紙に、第1回目の期日、つまり裁判が行われる日時が書いてあります。

この紙は、省略して「呼出状」と言います。

また、呼出状には、出頭場所、つまりどの法廷で裁判が行われるかが書かれています。裁判所には法廷が複数あるのが普通です。第1回期日には呼び出し状を持参して、法廷で書記官に示します。

さらに、呼出状には、答弁書提出期限、つまりいつまでに答弁書を提出すればよいかが書かれています。

答弁書の提出先は、あなたの裁判の担当部です。担当部がどこかについても呼出状に書いてあります。裁判所の判子が押してあるところです。

期日の1週間前までに答弁書を提出

答弁書の提出期限は、通常、第1回期日の1週間前までとされます。

もっとも、その期限を過ぎたら受け付けてもらえないということはありませんので、ぎりぎりになっても、極端な話第1回期日の当日になってしまっても、出した方がいいです。

答弁書は、裁判所の分だけでなく原告の分も忘れずに出してください。原告の分も裁判所(担当部)に提出すればOKです。

第1回口頭弁論期日

第1回口頭弁論期日、つまりあなたと原告との事件のはじめての裁判が、裁判所の法廷で開かれます。

第1回期日だけは欠席してもよい

被告は、第1回期日、つまり初回の裁判を欠席できます。ただしそれまでに答弁書は出さなければいけません

逆に、答弁書さえ提出しておけば、欠席しても、「答弁書のとおり陳述します」と法廷で発言したのと同じ扱いを受けられます。これを擬制陳述(ぎせいちんじゅつ)と言います。陳述とは主張を述べることです。

なお、この擬制陳述の特権は、被告にのみ、かつ第1回期日においてのみ認められるものです。第2回期日以降は必ず出席しなければなりません。

他方、答弁書を出さずに第1回期日を欠席すると、原告の主張している事実をあなた(被告)が認めたものとみなされるため、原告の言い分どおりの判決を言い渡される恐れがあります。

第1回期日で行われること

第1回期日で行われることは、次のようなことです。

  • 原告の訴状陳述、被告の答弁書陳述(欠席の場合擬制陳述)
  • 場合によっては書証(書類形式の証拠)の取調べや争点整理
  • 次回までに準備することの確認
  • 次回期日(次の裁判日時)の告知

などです。

5分もかからずに終了するのが普通です。

書証を取り調べる可能性がありますので、証拠の原本(現物)を持参してください。

次回期日を決めますので、手帳を忘れずに持っていってください。

第2回期日以降

主張・立証

第2回期日以降は、主張の補充や相手の主張に対する反論などを、準備書面という書面でするとともに、主張を裏付ける証拠(主として書証)を提出します。

例えば、第2回期日に答弁書に対する原告の反論を内容とする準備書面が原告から出され、第3回期日にその準備書面に対する再反論の準備書面が被告から出されるとともに乙号証が提出され、というような感じで流れていきます。

弁論準備期日

訴訟の基本は口頭弁論、つまり法廷における手続ですが、最後まで口頭弁論だけが行われるとも限りません。

むしろ、大多数の訴訟では、弁論準備期日という期日が設けられ、争点の整理や和解解決(話し合いによる解決)が可能かどうかを探るための意見交換などがなされます。

この弁論準備期日は、普通の法廷とは異なり、裁判所と原告・被告の3者が文字どおり同じテーブルについて話をする場です。傍聴人もいません。

期日と期日の間隔

期日と期日との間は通常1か月程度です。1年で10期日入ればよい方でしょう。

和解期日(和解成立)

弁論準備期日での話し合いなどを経て和解が成立見込みとなると、和解期日が開かれ、合意内容について確認し、和解成立となります。

和解が成立すると、和解内容(合意内容)をまとめた「和解調書」というものを裁判所が作成します。

和解調書は、約束を守らなかった場合に強制執行をする際などに必要なものです。

和解調書は原告と被告に後日交付されます。郵送してもらうこともできます。

和解が成立すれば訴訟は終了です。

証拠調べ期日(本人尋問・証人尋問)

和解解決が無理そうであれば、主張や書証による立証がひととおり終わったところで、普通は本人尋問や証人尋問に進みます。

本人尋問は、原告あるいは被告という訴訟の「当事者」が法廷で質問を受ける手続です。相手や裁判所が質問します。相手に代理人(弁護士)が付いている場合は代理人が質問します。

証人尋問は、当事者以外の第三者が法廷で質問を受ける手続です。当事者や裁判所が質問します。当事者に代理人(弁護士)が付いている場合は代理人が質問します。

いずれの尋問にも、主尋問、反対尋問、補充尋問の3つがあります。

原告に対して主尋問を行うのは原告代理人、原告に対して反対尋問を行うのは被告(被告代理人)、原告に対して補充尋問を行うのは裁判所です。要するに見方、敵、中立の3つの立場の人からそれぞれ質問を受けることになります。ただ、本人訴訟の場合、つまり弁護士を付けてない場合は、主尋問をする人がいないので、裁判所が代わりに行います。

判決言い渡し期日

本人尋問、証人尋問を経て、一応再度和解による解決の可能性が探られますが、やはり和解が無理ということになると、裁判所により判決が言い渡されます。

判決言い渡し期日には出席しなくてもかまいません。ただ、一番早く判決の内容を知る方法は、期日に出席して法廷で判決を聞くことです。

判決書は、言い渡しされた後日、書留(特別送達)で送られてきます。

判決の確定

判決を受け取ってから2週間が経過すると、判決が確定します。

逆に、判決が確定するまでは控訴ができます。控訴は、原告からも被告からもできますが、100%勝訴した側から控訴することはできません。する意味がないからです。これまでの裁判が地方裁判所であれば、控訴によりステージが高等裁判所に移ります。簡易裁判所であれば地方裁判所に移ります。

判決が確定すると、確定した判決をもとに強制執行ができるようになります。

強制執行をするには、別途そのための手続を裁判所でしなければなりません。